この記事は、以下の目的のために執筆しています。
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- 自分のログとして、この経験を忘れないために。
- 今も被災地にいるみんなのために。
- 被災していない、当事者ではないすべての人のために。
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僕は、今回の台風15号で被災した当事者の1人です。
僕は曲がりなりにもWebライターなので、文章で何かを伝えるべきだなと感じ、筆を取りました。
実際に被災してみて、「被災者」は何を考えるのか、「被災していない人」にどうして欲しいのか、理解することができました。
また、被災していない地域、停電や断水がない地域の、何か助けになるようなことをしたいと考えている方も読んでいただきたいです。
少しでも多くの人に届くことを祈って。
被災して家がなくなった
2019年9月8日、台風15号の影響で、僕は住んでいたシェアハウスが半壊しました。
台風による、暴風雨の影響で屋根がすべて飛んでいき、一階は雨水が浸水してしまい、今後も再度住むことは難しい状況です。
住んでいる地域
僕は普段、千葉県富津市の金谷という地域に住んでいます。
僕のシェアハウスは、この地域の最寄り駅である「浜金谷駅」から徒歩5分の、海辺に程近い場所に位置しています。
今は、群馬県にある実家に避難してきていますが、昨日(9月10日)まで、滞在していました。
この地域は、一帯が被害を受けていて、町の家屋は瓦が飛んでいたり、屋根がなくなっていたり、がれきやガラスが散乱している状況です。
千葉県富津市金谷の現状
— けーご (@keigo89bb) September 10, 2019
電気止まってるし断水してるし電波も飛んでないし連絡手段もなくて陸の孤島状態
房総出身の方とか不安だと思うので共有します
想像以上の被害だと思います
報道はほぼ無いし、ツイッターの情報が正確で早いと思います#台風15号#房総#千葉南部#被災 pic.twitter.com/aDDDfvqwsQ
これに加えて、電気は未だ復旧しておらず、断水も続いています。(9/11,12:08現在)
台風が来る前の準備
台風が来る前、9/8日の夜は、今回の台風に対してそれほど警戒していませんでした。(ましてや家が壊れるレベルだなんて・・・)
シェアハウスは普段6人で住んでいますが、その日は僕を含め3人で、雨戸は完全に閉めてありましたが、食料や水などの確保は特にしていませんでした。
屋根が飛んでしまったことに関しては、家の老朽化の影響もあったため、どうしようもなかったのですが、 今振り返るとあまりに警戒していなかったなと思います。
猛威を奮った台風
9/8の夜11時過ぎくらいから、本格的に台風が猛威を奮ってきて、もはや窓が壊れそうなレベルで風が吹いていました。
わりとリアルに窓割れそう。 pic.twitter.com/vwphZvzu3s
— 岡本優河 | Yuga Okamoto (@yuga_th119) September 8, 2019
この時は、まだ停電しておらず、とんでもない豪雨と強風でしたが、僕はリビングで呑気にYouTubeを見ていました。
午前1時くらいになり、さらに本格的に風が強くなり、「さすがにやばいな」と思いましたが、「まぁ朝になったら止んでるだろう」と思い、そのまま床に就きました。
シェアハウスは2階建てになっていて、1階が僕の部屋でした。
あまりの家の揺れと、窓の振動からあまり眠れませんでしたが、なんとか眠りについたのが30分後の午前1時半。
しかし、そのわずか30分後に、上の階に寝ていた2人にたたき起こされました。
「なんか家の天井がガタガタいってて、今にも飛んでいきそうなんだけど。」
「え?天井が飛んでいくレベルですか?」
眠い目をこすりながら、起きてみると、上の階の天井が今にも飛んでいきそうなくらいガタガタ音を立てて揺れていました。
家自体もガタガタ揺れていて、もしかしたらこのまま倒壊するのでは?と思うくらいの揺れ方でした。
しばらくすると、天井の屋根が一部飛んでいってしまい、屋内に雨が吹き付けました。
2階はもう完全に浸水してしまって、とても行ける状態ではなかったですが、リビングは無事でした。
みんなでリビングに避難して、ただただ、とんでもない暴風雨の中、朝が来るのを待っていました。
家が壊れるかもしれないという恐怖と闘いながら。
起きたら屋根がないという衝撃
午前4時くらいまで、起きていたのですが、少し収まり始めたので、僕は雨漏りが比較的少ないリビングの一角でうたた寝してしまいました。
目が覚めたのが、午前8時半くらいで、その時には完全に台風は収まっていたので、とりあえず外に出てみました。
外から、自分のシェアハウスを見てみると、あまりの家の破損ぶりに言葉を失いました。
2階の屋根が全てなくなっていたのです。
匠の粋な計らいにより、自室が吹き抜けになりました。#台風15号 pic.twitter.com/HgSNY0Y2Zw
— 渡辺智基@素晴らしい童貞 (@twokk1994) September 10, 2019
「ある朝起きたら、家の屋根が全てなかった」という経験をしたことのある人は、おそらく世界中探しても、ほとんどいないでしょう。
こうして僕の住んでいた家は一晩で、半壊しました。
文字通り「被災者」になったのです。
被災して思ったこと
被災者は「知ってほしい」
実際に被災者になって思ったことは、被災者は、被災者以外の少しでも多くの人に、この現状を「知ってほしい」という気持ちがあるということです。
これまで、僕は災害が起きた時に、なぜこれほどまでにメディアが報道し続けるのか意味が分かっていませんでした。
「知ったところで何もできないじゃん。」と。
僕は共感性が非常に低い人間なので、被災者の人はかわいそうだ、大変そうだなあ、くらいの感想しかありませんでした。
むしろ、毎日報道が続くと、正直「やかましいな」と思うことすらありました。
メディアは、報道することで、「被災地はこんなに悲惨です!かわいそうでしょ!」と言っているようにしか思えなかったのです。
しかし、実際に被災してみると、「知ってもらうこと」には重要な意味があるということが分かりました。
被災地以外の人に知ってもらわないと、注目が集まらないと、救援物資も復興に向けて必要なお金も集まらないためです。
助けが欲しいと思ったら、人は誰かに助けを求めます。
個人レベルの話なら、例えば「病気になったから看病してほしい」と思ったら、誰かに看病して欲しい旨を伝えれば、身内の人や友達が助けてくれるはずです。
しかし、殊に「災害」という単位で助けを求めるとなると、その声がもっと多くの人に届かなければなりません。
その声を、多くの人に届けるために、「報道して、知ってもらう」ということは非常に重要なことなのです。
こんな簡単なことが、僕は自分が被災者になるまで、理解することができませんでした。
本当に自分のことを恥ずかしく思っています。
「日常」は偉大である
今回の台風で「日常」があるということは本当に偉大だなと改めて思いました。
電気がない中で生活することによって、明かりもつかないし、スマホも充電できない、温かいお湯も出ない、温かいご飯が食べれない、など当たり前のことが当たり前にできなくなりました。
住んでいた家もなくなったので、思い出のつまったあのシェアハウスで、みんなと朝を迎えることも、もうできません。
しかも、たった一晩の台風で、です。
今、日常が続いているということ、それ自体が本当に素晴らしいことなのだと、今回の災害は改めて教えてくれました。
キャッシュレスな社会も考えもの
現在、世間的にはキャッシュレスな社会の実現に向けて、現金をなるべく使わないで決済を行うことを善とするような流れがありますよね。
しかし、今回の災害を経験して、すべてキャッシュレスな社会にしてしまうのも考えものだなと感じました。
キャッシュレス社会は、電気がなければ成立しません。
つまり、停電の状況下では、どれだけ電子マネーを持っていようと、モノを買うことができなくなってしまいます。
もし、現金を持ち歩いておらず、すべてのお金をネット上の決済で済ませるような世界になったとしたら、停電時に人々は貨幣経済が成り立たない状態で生活しなければなりません。
最悪の場合、モノとモノとの物物交換をせざるを得なくなり、モノを持ってない人と持っている人との間で争いが起こる可能性も出てきます。
今回の場合でさえ、台風前に現金を下ろしていなかった方は、ATMが動いていないため、現地で食料を購入することができませんでした。
幸いにも僕は、17,000円ほど下ろしていたので、食料を買う分には問題ありませんでした。
キャッシュレス社会を目指すのであれば、災害時でも使えるような電子機器を開発するか、今の仕組みを大きく変える必要が出てくるのではないかと感じました。
災害対策は最悪を想像しておくべき
今回の場合、「台風が来る」ということは事前の情報で知る事が出来ていました。
しかし、実際には、あまり情報を収集しようとせず、軽視していたのです。
もう少し真剣に情報を得ていれば、防げたこと(食糧不足や電池不足、荷物の浸水など)もたくさんあったのではないかと思います。
災害が来るとわかっていない時から、しっかり用意すべきですが、事前に対策が打てる場合は、最悪の場合を予測して、準備しておくべきだなと感じました。
ある意味ラッキーだったかも
僕は今回、被災者になったということをある意味ラッキーだったなとも思っています。
まず、朝起きたら屋根が飛んでいるなんて経験は、多くの人が経験することのできないものです。
また、前述したように、被災者の気持ちになることができたため、今後災害が起きた時に、少し気持ちにより沿うことができますし、復興支援に1円でも多く支援しようと思うようになりました。
そして、何より今生きているということです。
もう少し台風のスピードが遅かったら、家がもう少しもろかったら、家が全壊して死んでいたかもしれません。
そうならなくて本当に良かったし、この経験は、必ず未来の災害に役立てることができます。
そういった意味では、今回の経験はある意味で運が良かったなと心の底から思っています。
当事者ではない人に何をして欲しいか
まずは起きていることを知って欲しい
先ほども述べたように、被災した当事者ではない人には何が起きているか、知って欲しいです。
何が起きているか知り、状況を理解することが出来たなら、まず少しでもいいので、お金や物資の面で自分にできることはないか考えてみてください。
何が言いたいかと言うと友達、お世話になった方々が今後ポルカやクラファンを立てるかもしれないので、いつもより気にかけてあげて下さい。
— あんどぅさん@引きこもりゲーマー (@andousan007) September 10, 2019
ご協力の程よろしくお願いします。
おそらくこれから、房総半島を中心に、金銭面で支援を求める人がたくさん出てくると思います。
そういった時に、10円でも100円でもいいので、資金的な援助を求めている方に対して支援してほしいです。
それが、被災地にいない人が1番簡単にできる支援の形です。
自分の災害対策を見直してみて欲しい
私と同じように金谷の友人達の為に何かしたいとモヤモヤしてる人がいると思うので、まずはこれを機に自分の事を見直しませんか!
— はいぱーしおりん🍴 (@dosukoishiori) September 10, 2019
今急に停電したら、断水したら、避難指示が出たら、自分と自分の大切な人を守れますか?
明日は我が身!
自分には今のところ何もできないと判断したのであれば、まずは、自分の災害対策を見直してみてください。
明日は、我が身です。
この記事を読んでいるあなたは、もし今すぐに災害が起きたときに、対応することができますか。
水や食料、最小限の電気や情報取得手段などは、整えていますか。
自分は、しっかり準備できているか、他の人が被害に遭っている時だからこそ、考えてみてください。
ライフラインが整うまでは来ない方がいいかも
これは賛否両論あるかもしれませんが、言わせてください。
今回の経験で1番分かったことは、ライフラインが整っていない状態で被災地に援助に来ても、多くの場合、助けに来たその人も被災者になるだけだということです。
電気と水を管理しているのは、あくまでも政府であり、行政です。
行政がライフラインを整え切れていない状態で、被災地に援助に行ったとしても、個人の力で助けられる人の数には限りがあります。
ましてや、交通が麻痺している状態なら、自分もその場から出られなくなる可能性だってあるのです。
行政側が、支援物資を求めている場合は別ですが、それ以外の時に被災地に行ってもできることはそれほど多くありません。
もちろん「被災地にすぐに駆け付ける」という行為の勇敢さ、気持ちの強さは、素晴らしいですし、被災者からすると、とってもありがたいです。
しかし、それは長期的な目線で考えると、本質的な解決にはなりません。
「千葉が大変なことになってるから、自分にも何かできないか」
そう思っている方も多いはずです。
僕個人の意見ですが、支援したいなら、あくまで行政側の指示に従う、ライフラインの整備が出来てから駆け付けるのがベストであるように感じました。
これから益々みなさんの支援が必要になります
東京電力の最新の発表(9/11,11:47現在)によると、まだまだ復旧するまでには時間が掛かることが予想されています。
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復旧見込みは立っていませんが、もし電気が復旧し始めたら、がれきの処理や、家屋の修繕、物流の回復などがどんどん進んでいくはずです。
ライフラインの整備がある程度整った状態であれば、この記事を読んでいるあなたにも手伝えることがあるはずです。
「何か役に立ちたい」
そう考えている方は、この後、徐々に行われていく復興に向けて、何かできる範囲のことを探してやってみてください。
それが、お金なのか物資なのか、自分のリソースなのか、分かりません。
しかし、自分にできることを少しでも、手伝ってくれたら、被災者側は非常に嬉しいです。
この記事を読んだ方は、今後僕の住んでいる地域だけでなく、房総半島ないし、千葉県全体に関して少しでも多くの支援を何卒よろしくお願いします。